レンブラント展のおまけのおまけ2011年04月24日 18時29分02秒

今朝、区議会選挙の投票を終えた後、娘といっしょに上野の国立西洋美術館で開催されているレンブラント展を見に行ってきました。

レンブラントは20歳から63歳まで、生涯に渡ってたくさんの自画像を描いています。ひとりの画家がこれほど多くの自画像を描くのはとても珍しいことだそうです。自画像は依頼をされて(お金をもらって)描くものではありません。習作以外に描いたのだとすれば、よっぽど自分が好きな人だったのでしょうか?(詳しいことは知りませんが)そして全身の肖像画を見て気が付いたのですが、周りのものと比較したり、顔とのバランスを考えると、この人はかなり小柄な人だったように思えます。たぶん身長は130センチとか140センチぐらいの人だったのではという感じがしました。


0424レンブラント展


今回のハイライトは、いくつもの紙を使い分けてプリントされた版画です。彼は洋紙だけではなく和紙※を好んで使用しました。例えば、「3本の十字架」という作品はひとつの図案をルーブル美術館大英博物館アムステルダム美術館からそれぞれ種類の違う紙にプリントされた作品が出展されています。白い洋紙に比べて、クリームがかった和紙はとても柔らかい印象がします。ただ、今のように蛍光灯などがない時代、ローソクの明かりでは、全体的に暗い和紙版画の細部を見るのは大変だったのではないでしょうか?

※和紙は長崎の出島から、東インド会社によってオランダに輸出された、とっても貴重なものだったようです。

そのレンブラントも50歳を過ぎたころから、銅版画を制作しなくなったそうです。目が悪くなり、細かいものを見ることができなくなったためと言われています。大画家が私たちと同じ老眼だったと聞くと何だか親しみを感じますね。

おまけ
特別展を見終わった後、せっかく来たので娘に、ルノワールとかモネなどの有名な作品だけは見せてあげようと常設展を駆け足で回りました。すると1枚の絵に目が止りました。「吟遊詩人に扮した自画像」エミール・ベルナールです。自画像というわりには本人は左下すみにちょっこっと描いてあるだけ、しかも弦楽器を左手で弾いています。ベルナールは左利きだったのでしょうか?こういうことにはすぐに気が付く私です。とても面白い作品に出会えました。

おまけのおまけ
さて、2時を過ぎてお腹も空いてきたし、そろそろ切り上げて帰ろうと思った時、スタッフの人から、「この奥では、レンブラント以前の版画を展示しています。普段見られない作品も多くありますから是非ご覧ください」と言われてしまいました。そこで仕方がなくその展示室へ。しかし、これが意外に面白かったです。レンブラントの作品は聖書の世界を描いた宗教画が多いのですが、ここはもっと人間臭い、世俗的な作品が多くありました。フィリップ・ハレの「愚かな乙女と賢い乙女のたとえ」は、誰が見てもわかりやすい作品です。真面目に汗水流して働いた人は天国に行けますよ、遊んでばかりる人には天国の門は閉ざされていますということが描かれた楽しい1枚でした。

レンブラント展にいらっしゃる時は、ついでに上記の2つの作品も是非見てきてくださいね。私からのオススメです(笑)!