社会を変えるちょっとした働きかけ2012年03月04日 22時29分42秒

0304新潟での手話セミナー
3月4日『社会を変えるちょっとした働きかけ』

手話通訳セミナーの講師として新潟県に来ています。最初のあいさつでは、セミナーの主催者で私がいつもお世話になっている団体がNPO法人の認証を受けたとうれしい報告がありました。
私が先日の「角田光代さんの講演会」の例を出し、黙っていたら社会のしくみは変わらない、声を出していかなければという話をしたところ、参加者のひとりからこんな話が出ました。

「私は新潟県のある市で消防官に簡単な手話指導をしました。その時に、皆さんは耳の聞こえない人はどうやって救急車を呼ぶと思いますか?と質問したところ、えっ?電話じゃないのですか?あっ、そうか電話はできないのですね。ではFAXですか。でも急病やけがの時に文章を書くのは大変ですね・・・そんな話から、消防署で耳の聞こえない人専用の緊急時FAX用紙を作成し、市内の聴覚障がい者の家庭に配布したそうです。」
こんな報告を聞くことができました。その用紙は火事か急病かケガか?など簡単に○をつけるだけで内容がわかるようになっているとのこと。その方のちょっとした問題提起がすばらしい実を結びましたね。パチパチパチ!

さて、セミナー午前中は読み取り通訳練習、午後は聞き取り通訳練習をしました。参加者4~5人ずつ前に出て手話表現をしてもらったのですが、本当はひとりひとりについて細かく指導できれば良かったと後で反省しました。というのも終了後、ある聴覚障がい者から、「やや手話表現は他の人より遅れていたけれど、聞きだめをしながら最後までていねいに通訳してとてもわかりやすい人がいた」という話を聞きました。そんなことも本人に伝えてあげれば良かったと後悔しています。

セミナーの最後に参加したろう者ひとりひとりに練習文を表現してもらいました。それぞれに個性が出て、私にとっても目からウロコの表現が数多くありました。全てをここに書きしるすことはできませんが、例えば冒頭、「皆さんはデフリンピックを知っていますか?」のとき、健聴者も一応は聴衆全員に向かって質問をしているものの、すぐに次の文章に入ってしまい、そこに間がありません。ところがろう者の場合には「知っていますか?」の後に必ず間を取っています。つまりみんなが知っているのかどうかをきちんと確認しているのですね。私はそれこそがコミュニケーションの基本ではないのかと感じました。

寒い中、またいろいろな行事が重なっている中、新潟市内だけではなく、県内各地からご参加くださった皆さん、そしてスタッフの皆さん、今日は本当にありがとうございました!