清潔な照明のよいところ2019年07月01日 21時05分12秒

夜も更けていた。カフェではみな帰ってしまい、ただ老人だけがひとり残って座っていた。この老人は遅くまでカフェにいるのが好きだった。老人は耳が不自由だった。店にとってはいいお得意だったが、酔っぱらうと勘定を払わずに出でいくので、二人の給仕はけっして目を離さなかった。
「先週、彼は自殺しかけたんだ」ひとりの給仕が言った。「どうして?」「絶望したんだ」
すると老人が受け皿をコツコツ叩き「ブランデーをもう一杯」と言った。

20190701清潔な照明のよいところ

三人の登場人物の気持ちが交差する不思議な短編小説でした。
「勝者には何もやるな」より「清潔な照明のよいところ」
ヘミングウェイ著 荒地出版社

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