まだ温かい鍋2020年07月01日 22時34分26秒

皆さんは忘れられない思い出の味ってありますか?もちろん高級店で食べる一流のシェフが作った料理もおいしいでしょう(食べたことはありませんが)。でも、例えば子どもの頃お祭りで母親が買ってくれた水アメとか、高校の部活の後で同級生と食べたラーメンとか、徹夜で仕事をした朝、一人で食べた牛丼屋の朝定食とか、案外そういうものが思い出の味だったりする気がします。
この本にはそんな食に関する話が6つ載っています。その手の本はだいたいハッピーエンドが多いのですが本書はどの話も悲しいというかちょっぴり怖い結末を迎えるのが魅力です。
例えば「ミックスピザ」。主人公の早百合は病気で働けなくなった夫を看病し、保育園児の息子の育児を一人で担い、生活費を稼ぐために夜遅くまで会社で残業をしています。ときどき義母が手伝いに来てくれるのはありがたいのですが、厳しい義母は、夫と息子には毎食「白、黒、赤、黄色、緑色の食材が入った料理を手作りしてあげてね」と勝手なことを言ってきます。
そんなある日、早百合は一度だけ過ちを犯してしまいます。ラブホテルで浮気相手が注文した、ほとんど具材が乗っていない冷凍ピザ。そんなジャンクな食べ物を一口食べてみたら、なぜかとてもおいしく感じました。早百合はその味が忘れられず、後日一人でそのホテルを訪れ、再び冷凍のピザを注文して食べます。浮気相手とは別れ、夫ともう一度新しい関係を築いていこう、早百合はそう決意したものの果たしてその結末は・・・

20200701まだ温かい鍋

ドキドキしながらお読みくださいね。
「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」
彩瀬まる著 祥伝社