七化けおさん ― 2020年07月06日 19時32分51秒
両国の広小路に小梅座という芝居小屋があった。一年前からこの小屋では、女役者三之丞一座の芝居が江戸中の評判になり、連日超満員の賑わいだった。
ある日のこと。芝居が終わった後、客席に一人の男が座っていた。寝ていると思い係りの者が起こそうとするとその男は息絶えていた。体に傷もなくお医者に診てもらうと「心の臓の発作」とのこと。大好きな芝居を見ている時に、周りにも気付かれることもなく心臓発作で苦しまず静かに死んだのならむしろ幸せな死に際だったのではないか。この件は一件落着かと思われたのだが・・・
「七化けおさん」
平岩弓枝著
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