9000本のパイプの調べ2014年10月22日 13時22分33秒

池袋の東京芸術劇場でパイプオルガンのコンサートへ行って来ました。
慌てたくないので開場時間に到着し、一番前の席に着きました。開始5分前のチャイムが鳴り周りを見渡すと私の前後・左右にはほとんど人が座っていません。平日の夜だとこんなものなのかなと思い後ろを見ると、2階席、3階席には大勢の人が!なるほどパイプオルガンは高い位置で演奏しますし、大きいのできっと2階席や3階席の方が見やすく、音も聴きやすいのでしょうね。

ところで、ここ東京芸術劇場のパイプオルガンは約9000本のパイプを持つ世界最大級のものだそうです。

<作品に投影される作曲家の人生>
この日はオール、ヴィエヌルの作品でした。彼は盲目で、音楽の才能はあったものの、波乱に満ちた人生を送った人でした。度重なる大病、交通事故、妻の裏切り、息子たちや弟との死別。そして音楽院の派閥抗争に巻き込まれて教職を解雇されるなど、その苦悩の人生がそのまま曲にも投影されているようでした。
1021パイプオルガン

<月の光>
静かな曲。教会音楽を思い出すのはパイプオルガンですから当たり前ですよね。

<オルガン協奏曲第6番>
0)イントロダクション
にぎやかにスタートしました。交響曲の循環主題1と2が繰り返されます。そしてそれは時には逆行形(主題の音符を後ろから読んだ音列)や鏡像(主題を五線に沿って対称型にしたもの)も登場するとプログラムに書いてありました。残念ながら私の耳では確認できませんでしたが・・・。

1)アレグロ
不気味に、そして音の厚みを感じました。

2)アリア
オーボエの演奏を聴いているような感じです。
途中から荘厳な光が射し込んでくるようでもありました。

3)スケルツォ
トランペットのようににぎやかに。
※この楽章に入ってからテンポが速くなり、譜めくりの女性が忙しくなりました。

4)アダージョ
低く重く、ティンパニーのような響きです。
「長く保持されるシ♭の音はまるで葬送曲のようだ」とプログラムに書いてありました。

5)フィナル(終曲)
まるで舞踏会のシーンを見ているようでした。ペダルではロ長調の音階が駆け上がります。そして明るい狂気の光が射し込みます。

ヴィエヌルの曲は、半音階を多用して、モーツァルトやチャイコフスキーのような「聴きやすく、わかりやすい曲」では決してありませんが、心に深く残る曲でした。
オルガニストの近藤岳さんはカーテンコールに数回応え、最後はオーケストラの指揮者が団員をたたえるようにパイプオルガンに手を向けたのが印象的でした。アンコールはなく1時間ほどで終演となりました。