刑法39条2014年10月15日 22時25分29秒

39窃盗団」という映画を観ました。

刑法39条・・・心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する。

オレオレ詐欺のリーダーに手下としていいように使われている発達障がいのヒロシ
お前は刑法39条に守られているからとドロボウをさせられるダウン症のキヨタカ
母親の再婚相手である義父に体を売る商売をさせられている知的障がい者の和代
施設から外に出で迷子になってしまった痴呆老人の金山

この4人が起こす事件をユーモアたっぷりに描いている作品です。この映画はハッピーエンドで終わっています。でも実際の社会で彼らたちのような立場の人たちがハッピーな生活をしているのかと言えばそれは疑問ですね。いろいろと考えさせられる映画でした。

1015手作りの字幕

この上映会は町の中にある小さなカフェで開催されました。映画そのものには字幕が付いているのですが、その前に上映されたケーブルテレビの番組には字幕がありません。そこでスタッフの人が画用紙に手書きした「手作りの字幕」を見ながらの鑑賞会となりました。

車イスが3台とその介護者など10人ぐらいで小さなカフェは満席となりました。
そこではとても素敵な出会いもありましたよ。
車イスのTさんがこんな話をしてくれました。「インターネットの乗り換え検索は健常者用にできている。例えば健康な人だったらA駅の3両目で山手線に乗り換えるのが良いとなっていても、車イスの人だったらB駅の5両目で京浜東北線に乗り換えた方が楽という場合がある。そのような障がい者の目線からの乗り換え案内、マップを作りたい」とのこと。なるほど、それは本当に必要なものですよね。

1015上映会

同じく車イスのKさん(女性)は、「私はできるだけいろいろな美容室やレストランへ行くようにしている。そうすることで多くの人に私のような車イスの人をどうやって介護したら良いかを体験してもらっています。私はプラカードを持ってデモをするような活動は好きではないけれど、自分にできる方法で社会にアピールしています」と話してくれました。それってなかなかできないことですよね。素晴らしいなぁと感じました。

私はよく学生たちに「ボランティアでも勉強会でも積極的に顔を出しなさい。するとそこからいろいろな人との出会いが生まれるから」とよく話しをしますが、まさにそれを身を持って体験できた映画会でした。主催者のIさん、誘ってくれたHやん、同行してくれたYさん、Aちゃん、お世話になりました。そしてありがとうございました。

10年目の~自閉っ子、こういう風にできてます!(自閉症3冊目/100冊)2014年10月06日 12時17分12秒

自閉症スペクトラムなど発達障害を持つ人たちへの理解を深めるために関連の書籍を読んでいます。今回読んだのは「10年目の~自閉っ子こういう風にできてます!」という本です。

この本は10年前に書かれた「自閉っ子、こういう風にできています!」の続編として書かれたもので、何となくこの10年に書いてきた本の宣伝?というような印象がありました。
それでも自閉症のニキ・リンコさん、アスペルガー障害の藤家寛子さんのお二人が自分の体験談を元に書かれている内容には強い説得力を感じました。

1006自閉っ子

・「発達障害は発達する」を身をもって示した10年でした。
・たくさんのトマト、その全てに名前がある。
・「あなたが子どもの時にどういうことばをかけてもらいたかったですか?」←「シマウマ
・「あなたは小学校にどうしてもらいたかったですか?」←「教頭先生は書道展に作品を出してもらいたくなかった」(お習字とは子どもがするものだと思っていた。大人がしていいの?と疑問に持った。見えないものはないと認識してしまう。
家族は備品、自分以外の人は自分の人生に出てくる登場人物、付属品だと思っていた。
・音楽の先生は楽だなぁ、自分のクラスを教えている時以外は何もしていないのだからと思っていた。音楽室で先生の時間割を見て驚いた。
ダルビッシュと常盤貴子と田中麗奈の区別ができない。
・自閉症のまま幸せになる。
・「この世でたった一つの不幸」を「数ある不幸の一つ」に格下げして安心する。
・飛行機に乗り遅れるとお寿司が食べられる。
・エアお姑さん
・ひとり焼き肉へ行く。もしみんなと行くと「みんなと一緒に食事をする」とことと、「焼き肉を食べる」という2つの難しいことを同時にやらなければならないからだ。

いろいろなことがわかるのと同時に、いろいろと新しい疑問が生まれてくる一冊でした。

ぼくには数字が風景に見える(自閉症2冊目/100冊)2014年09月24日 11時18分54秒

自閉症スペクトラムなど発達障害を持つ人たちへの理解を深めるために関連の書籍を読んでいます。今回読んだのは「ぼくには数字が風景に見える」という本です。
0919ぼくには数字が風景に見える

円周率の中で一番有名なのは小数点以下762桁から767桁目までの9が6つ並んだファインマンポイントだ。しかし、小数点以下19437桁から19453桁までにはこういう部分がある。
・・・99992128599999399・・・
これはまず四つの連続した9があり、それからすぐにまた五つの9が現れる。そしてまた二つ連続する。ぼくは2万2千500個の数字の中でこの部分が一番気に入っている

著者のダニエルは数字に色や感情を感じる共感覚者です。円周率は2万桁を暗記し、外国語も一週間ほどで覚え、10個の言語を操れる、いわゆるサヴァン症候群です。

自閉症の人を理解するためにはじめた読書ですが、2冊目にしてちょっと特殊な本だった気もします。しかし、自閉症の子供たちの中には、「会った人全ての誕生日を記憶している」とか「4桁×4桁の計算が一瞬のうちに出来る(しかし4+1=5という計算は出来ない)」、「4千年間の日付についてその曜日が言える」などの特殊な能力を持った人は少なからずいます。映画「レインマン」に出てくるレイモンドも、そういったサヴァン症候群患者の一人でしたね。

本書を読んでも、そういった人たちの脳の構造がどうなっているかを理解することはできませんでした。ただ、そういう人たちの多くが就職できない、人の感情が理解でない、社会に適応できずに苦しんでいるという現状はよくわかりました。
サヴァン症候群とか、アスペルガーに興味がある人はもちろんですが、数字や数学に興味がある人にはより楽しめる本なのかもしれません。

追伸・・・そんな話を次女としていたら、何と彼女には1から10までの数字ひとつひとつにキャラクターが見える!(それも小2から)のだそうです。えっ、もしかしたら娘も共感覚者?この話は面白ろ過ぎるので、後日改めて書かせていただきますね。

ぼくには数字が風景に見える」ダニエル・タメット著、古屋美登里訳、講談社文庫730円+税

「気にしてないよ」(自閉症1冊目/100冊)2014年09月16日 21時29分09秒

自閉症スペクトラムなど発達障害を持つ人たちへの理解を深めるために関連の書籍を読んでいます。

<字義通り>
友だちから「いつでも遊びに来いよ」と言われていたAくん。ある朝ふとそのことばを思い出しました。今日はヒマだからと突然朝早く友だちの家へ。ところが今日は平日なので友だちはこれから会社に出勤するところでした。ことばを字義通りに解釈しすぎることがあります。冗談などもそのまま信じてしまうこともあるので注意が必要です。

<符号化と符号読解>
Kちゃんは上級生のYちゃんに「ウスバカY」と呼びました。それを聞いた先生はKちゃんに「ちゃんと名前で呼びなさい」と注意しました。Kちゃんが謝ると、Yちゃんは「もう気にしてないから」と返事をしました。するとKちゃんは「気にしてないならこれからもウスバカユイって呼んでも良いんだ」と思ってしまいました。これもことばが字義通り受け止められてしまった例です。

0916発達障害がある人とのコミュニケーション

<知っていても言わないほうがいいこともあることを伝える>
テストを返したときのこと。Mくんはもちろん100点、となりのYちゃんは58点でした。「Yちゃんはどうして58点なの?全部習ったところなのにわからなかったの?」とみんなの前で言ってしまい、Yちゃんは泣き出してしまいました。正直が大切だということと同時に、場合によっては言わない方が良いこともあることを指導する必要があります

自閉症スペクトラムなど発達障害がある人とのコミュニケーションのための10のコツ」坂井聡著エンパワメント研究所1500+税