紅梅2021年09月10日 21時38分07秒

新之助は家の近くまで来ると、自然に足が速まった。公用で江戸へ出てから二ヶ月ぶりに国元に戻ってきた。一刻も早く妻のきわに会いたいからである。しかし、屋敷に戻った主を迎えた家の者の中には妻の顔がない。不審なのは母上はじめ家来の誰ひとりとしてそのことに触れないことだ。一体妻に何があったのだろうか?
話は思いがけない方向に展開していく・・・

20210910紅梅

「紅梅」
安西篤子著 講談社文庫