まず牛を球とします2022年08月12日 20時12分15秒

友人がリンゴを3個持ってきてくれました。私が「どうしたの?」と聞くと「いっしょに食べようと思って」と言います。「でも3個だと分けられないんじゃない?」と私が言うと、彼女は3個のリンゴを両手で包むとマッサージをするように揉み始めました。するとだんだんそれがぐにゃぐにゃのかたまりになっていきます。そして彼女はそれを「数字の3」と「リンゴ」に分け、私にリンゴをくれ、自分は3を食べ始めました。不思議なことに私のリンゴはいくら食べても量が減りません。すると彼女は言いました。「そりゃ食べてもリンゴは減らないわよ。減るのはリンゴの数なんだから」と。

20220812まず牛を球とします

「まず牛を球とします」河出書房新社
柞刈湯葉著