障がい者政策研究会2009年12月07日 19時34分58秒

政策研究会
昨日は、新宿で開かれた政策研究会に、手話通訳として参加してきました。
福祉の現場では、現在、障がい者権利条約に日本が批准するために、国内法の整備が急務となっています。また、厚労相が自立支援法を廃止するという方針を発表し、今が変革へのチャンスでもあり、また同時に今が踏ん張りどきでもあるのです。

私が担当した労働分科会では、労働における「合理的配慮と過度の負担」についてが中心的な話題でした。以下私が気になったいくつかのポイントを挙げておきたいと思います。

「合理的配慮の否定について、それ自体を第3の類型の差別と構成するのか(合理的配慮が提供されないこと自体をもって、実際に差が生じなくても差別であると捉えるのか)、直接差別に組み込んで考えるか(実際に差が生じていることについて、合理的配慮が提供されていないことに起因している場合には、当該差は差別として捉えるのか)についても検討すべき」と。研究会としての方向性はどうなんでしょうか?

「雇用率制度は障がい者の雇用の促進に有効であり、差別禁止の枠組みと矛盾しない、ポジティブ・アクションに当たるという意見が多くあった」との報告がありました。
私個人としては雇用率は思想としては矛盾しないというロジックには無理がある(矛盾する)と思うのですが、批准すれば採用段階での差別が全廃する訳ではありませんし、現実としてはやはり必要なのだろうと感じました。

ある研究者から、「ギデンズの第三の道については、新自由主義への屈服という批判もあるが、それは伝統的な社会民主主義の立場からのものである。あらゆる思想や運動体もリニューアルを迫られているのではないか?」という発言がありました。司会者は受け流していたようにも感じましたが、団塊の世代のリーダーたちはこの発言をどう受け止めていたのでしょうか?とても興味があります。

分科会には2名の聴覚障がい者が参加しており、その二人とも積極的に質問や意見を述べていました。障がい者をメインストリームしようという議論の場にも、当事者が(もちろん全ての人が当事者であるのですが)メインストリームしていることは、それに関わる手話通訳士としてはとてもうれしいことです。
大会のスタッフの皆さん、全国からご参加の皆さん、本当にお疲れさま、そしてありがとうございました。