船は家の上や道路の真ん中にあってはならない(気仙沼)2011年05月22日 23時41分03秒

気仙沼に到着しました。こちらはかなり地盤沈下があり、さらに現在は満潮が夕方なので、ひざ下ぐらいまでの長靴が必要になりました。さっそくホームセンターで長靴を4足(スタッフ分)購入しました。

気仙沼であちこちにがれきが散乱しているのは、ときどきテレビに映される状況そのままでした(去年私が訪れた気仙沼は町ごと消えてしまいました)。一番驚いたのは大型の漁船が道路の真ん中や、建物の屋根の上などに乗っていること。震災から2ヶ月過ぎてもまだほとんど手が着いていないようでした。


建物の上の漁船


大型船の下やすぐ横を歩くとき、「もし今、余震があってこれが倒れてきたら、自分はのしイカ状態だろうなぁ」と怖くなります。


0521道路の真ん中の大型船


さて、今回、取材させていただいた聴覚障がい者のWさんから地震や津波のいろいろな話を聞きました。その内容はぜひ番組でご覧いただきたいのですが、ここでは忘れないうちに宮城県特有の手話について書き留めておきます。

ご存じのように手話には日本語の方言のような地域的な違いがあります。「気仙沼」という手話はかつて左手の肩の近くで右手を上に動かす動作で表現していました。これは(Wさんによると)海産業で働く人たちが「腕まくり」をするという仕草から生まれました。ところがその動きが「入れ墨(暴力団)」という手話に似ているために、現在では左手で沼、右手は指文字の「け」を動かす手話に変更されたとのことです。

その人が「会社では私が障がい者なのでちゃんと仕事ができるか周りの人はとても心配していた。しかし、私が○○が得意だということがだんだん知られてきた。するといろいろな人から仕事中に○○を聞かれるようになった。私たちは常に筆談をしているので○○が得意なのです」という話がありました。そこの○○には、「色彩」という手話が入っていたのですが、どう考えても色彩では意味が通じません。本人に確認してみると「漢字」とのこと。なるほど、それなら意味が通じますね。

自分用メモ
色・・・「変」の手話の親指をこする
新幹線・・・左手の甲に右手を当てる
ケータイ・・・指文字の「ケ」を耳に当てる
保険・・・左手の「ホ」の甲に右手を当てる

取材ではWさんのお子さん(中学2年生)にもインタビューをしました。しかし、ほとんどの質問に答えてくれなかったので嫌だったのかなと思っていたのですが、夜、その子から私のケータイにメールが入りました。「今日は緊張してしまい、ゴメンナサイ」との内容でした。将来は福祉の仕事を目指していますとの話でした。メールをもらったことがうれしく、またちょっとホッとしました。