夢のなかの夢2018年01月30日 20時53分17秒

ダイダロスは広い円形の部屋に出た。部屋の真ん中に男が一人座ってすすり泣いている。その男は雄牛の頭をしたけもの男だった。ダイダロスが泣いている訳を訊ねたら、「ぼくが泣いているのは月に恋したからです。こどもの頃一度見ただけなのにぼくには手が届かない」と言う。「きみがここから出られるよう私が手助けしてあげよう」とダイダロスは言った。
この部屋には扉が二つあり、ひとつは自由に、もうひとつは死につながっている。それぞれの扉には番人が二人いて、ひとりは嘘しか言わず、もうひとりは真実しか言わないのだ。果して二人はこの宮殿から脱出することができるだろうか?

20180131夢のなかの夢

過去の巨匠たちがみたかも知れない夢を、現代作家タブッキが想像の翼を広げて妄想します。3~4ページぐらいの短篇が20あり、それぞれ独立しているので、興味がある話だけ拾い読みするのも可能です。
電車の移動時間、会社の昼休み、カフェで友人を待つ時間にちょっと読んでみてはいかがでしょうか?
「夢のなかの夢」
タブッキ著 岩波文庫