その他の感想(昨日の続き)2009年10月13日 20時52分06秒

Mと牛タンを食べる
全体的にはとっても素晴らしいコンサートでした。来年もぜひ参加したいと思いますし、今後このコンサートが全国に広がっていって欲しいと思います。
その上で気が付いたことを思ったままに。

1)構成について
コンテストに出演した11バンドの内、7つが歌有り、4つがインストルメンタル、つまり楽器の演奏のみでした。しかも演奏のみのバンドが後半に集中していたために、聴覚障がい者にとっては結構つらかったと思います。もし私が耳が聞こえなかったら、後半では確実に寝たでしょう。なかなか難しいと思いますが、例えばインストルメンタルのバンドを減らすとか、構成を変えて演奏を前半2曲、後半2曲にするとかできなかったのでしょうか?

2)手話通訳者について
3名が交代で頑張っていました。例えば講評で「バイオリンの演奏はバラードで静かに始まり」のところでは、通訳者はバイオリンをゆっくり奏でるしぐさ、「後半はアップテンポで」のところは激しく演奏するしぐさで表現したところなどはさすがだと思いました。さらに、会場内のスクリーンの右下にも通訳者が映し出されていたのはとても良かったと思います。
ただ、3名とも上着は黒または紺系のスーツでしたが、舞台上でもスクリーン上でも顔と手だけが浮き上がっていて見づらく感じました。スタッフが着ていた明るい青色のTシャツ、または白とかベージュ系の服の方が手話が見やすかったのではないでしょうか?

3)司会者について
司会の鮎貝さんの声は低く、魅力的で聞きやすい声でした。「ありがとうの韓国語を忘れてしまった話」などでは、緊張した会場の雰囲気を和ませてくれました。長崎さんは障がい者ならではのコメントが光りました。
ただ、ひとつ残念なのはステージ上の動きが司会者には見えていなかったことです。特に気になったのは、スポンサー名の字幕と読みのズレ、今井絵里子さんの1曲目の曲紹介の遅れ、最後の花束贈呈のタイミングのズレです。
限られた時間内で進行しなくてはならないので本当に大変だと思いますが、私も司会をする立場から言わせてもらうと、「ちょっと今舞台で何が起きているか見て」と言いたくなるシーンが他にもありました。どんなに気の利いたコメントがあっても、舞台と進行がずれていると白けてしまいますね。
もし司会者にその余裕がないなら、アシスタントを付けるなり、キューを出す人を準備した方が良かったのでは?あれでは二人の司会者の良さが生かされていないと残念に思いました。

4)客席のマナーについて
障害をもったお子さんが声を出すことは気になりませんが、私の席の近くの人が何度も紙袋をガシャガシャとさせて物を出している音には結構邪魔されました。また、今井絵里子さんが登場すると、カメラで撮影している人もいました。注意しようとも思ったのですが、トラブルになるのも嫌だったので黙っていました。私たち観客のマナーも向上させないと出演者に対して失礼ですね。

5)その他の出演者
特別出演のOUT OF TUNEの「パイナップル・ブギ」は、どちらかというとプロ指向、テクニック至上主義的なこのコンサートを和ませてくれるスパイスになりました。決して歌や演奏が上手いわけではありません。でも、「なんだお前もパイナップルか」とか、「美人のかあちゃんアグネスラム似よ」という歌詞は、「生命」とか「きずな」とか「愛」などという美辞麗句で武装していない、ある意味で今日一番心に届くものでした。

ゲストの今井絵里子さんは、「MY GURADUATION」を、昨年グランプリの大石亜矢子さんのピアノに合わせて歌いました。スピードの時とは全く印象の違うコラボレーションは、とっても美しいハーモニーでした。(HIROさんのパートを大石さんが歌っていました)2曲目の「ゆりかご」はスタンドマイクの前で、全編に手話を付けて静かに歌いました。会場の全員が彼女の作る両手のゆりかごの中で揺られているような気分になりました。3曲目の「はなうた」は、(ファンのブログによると)あまりライブなどではやらない曲だそうです。すっと頭に入ってくる印象的なフレーズが繰り返される曲で、彼女は舞台を降り、客席の皆さんにひとりひとりに近づいて握手をしたり、一緒に歌います。この時に会場のボルテージは最高潮にしました。

本当に素晴らしいコンサートでした。主催者の日本バリアフリー協会の皆さん、出演者、審査員、ボランティアの皆さん、手話通訳を担当したトライアングル、字幕を担当したFlexの皆さん、その他、このコンサートを影で支えて下さったすべの皆さん、本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございました。

追記・・・私と友人Mはその後、近くの店で牛タンを食べながら、ずっとコンサートについて、あれこれ語り合ったのでした。(終わり)