ある意味怖い映画でした「紙の月」2015年04月02日 08時16分19秒

昨日は映画の日。「紙の月」を観てきました。
(「ストロボ・エッジ」、「幕が上がる」と悩んだのですが・・・)
映画館は珍しく立ち見でした。まぁ、2本立てで800円は確かに魅力ですよね。

0401映画の日

角田光代さんのお話しは、例えば「八日目のセミ」もそうでしたが、犯罪者(誘拐や横領など)を許せないと思いつつも、ばれないで欲しい、逃げて欲しいと、いつの間にか犯罪者に感情移入していくところが魅力ですね。
大嶋優子演じる銀行の若い行員。「お金が余っている人のお金を黙って借りて後で返しても絶対にばれませんよね」という悪魔のささやき。吉田大八監督は「本人のダークサイドから生まれた分身のようなもの」と述べていますが、私は、それよりも周りの何気ないことばも、心当たりがある場合その人の心に敏感に響くものではないかと感じました。
一番印象に残ったのは「私のことみじめだと思っていますよね」と捕まった宮沢りえが先輩である小林聡美に言うと、「あなたはやりたいこと全てやったよね。私はやってみたいことを考えたら徹夜しかなかった。私のこと惨めだと思っているでしょう」
と答えるシーンです。

0401紙の月

それにしても3万円の時計をはめたら30万円の時計が欲しくなる、車を手に入れたら次は外車が欲しくなる・・・人間の物欲はキリがないものなのですね。以前読んだ本に「ベンツが好きなのではなく、ベンツに乗っていると皆からうらやましそうに見られることが快感」というようなことが書いてありました。まさにそういう事なんでしょう。
平凡で真面目なパートの女性が、ちょっとしたきっかけでどんどん人生を転落させてしまいます。会社の金を使い込んでしまうなんてどこにでもある話し。だからこそ誰にでも起こりうること。良い映画でしたが、ある意味とても怖い映画だと思いました。