嫌なことは後まわし2015年06月11日 17時08分24秒

パトリック・モディアノの「嫌なことは後まわし」を読みました。
私にとっては6冊目のモディアノ作品になります。

この本はまず表紙の白黒写真がカッコイイのです。新しい本だなぁと思ったら1999年に出版された後しばらく絶版になっていました。それが2014年にモディアノがノーベル文学賞を受賞したことから再版になったとのこと。やっぱり賞の力というのは大きいものですねぇ。(さびしい宝石の表紙の白黒写真も良かった!)

0611嫌なことは後まわし

内容はいつもの彼の作品通り今と過去を行ったり来たりの不思議な世界でした。昔の小学校の話にはよく木曜日と日曜日の休みのことが書いてあります。昔フランスでは月・火・水と学校に行ったら木はお休み、金・土と行ったら日はお休みだったのでしょうか?そういえばこの本、一番最初におもな登場人物と年齢、ひとことコメントが書いてあります。海外の小説を読むとき、これって本当に助かるんですよね。

ところでこの本のタイトル、「嫌なことは後まわし」ですが、原題を直訳すると、(刑罰の減免あるいは免除を意味する)「恩賜」や「特赦」がふさわしいそうですが、作者は「精神的につらいことを延期する」という意味を兼ねて使っていると解釈して思い切ってこう意訳したそうです。なるほど!私も手話通訳としてこの直訳と意訳には興味があります。私には全くフランス語の知識はないのですが、もしこの本のタイトルを考えなさいと言われれば「とても重大なことのせいで」または「僕の不思議な同居人たち」なんていうのはどうかなぁと考えてみました。

「嫌なことは後まわし」バトリック・モディアノ著 根岸純訳 キノブックス