代用品2015年12月09日 22時41分28秒

数年前に船橋市郷土資料館へ行ったときに、戦争の資料を集めた図録を買ってきました。いつか読もうと思っているうちにずいぶんと時間が経ってしまいましたが、最近になって空き時間を利用して少しずつ読んでみました。

サイパンを飛び立った76機のB-29。そのうちの1機ハーレーズ・コメット号を、船橋上空で日本軍の双発戦闘機屠龍(とりゅう)が体当たりして墜落させた話し。アメリカ軍が「日本が無条件降伏すれば国民の安全、国土の保全、国家の主権を保証する(ポツダム宣言)」というビラを空から撒いた、漢字とカタカナでとてもわかりやすい文章だった。当時は降伏しても皆殺しにされると聞かされていたので、ビラは警防団員にすぐに取り上げられたが内心はホッとしたなどの生々しい証言を読むことができました。

1209代用品

私が一番印象に残ったのは「代用品」の話しです。金属は兵器生産のために優先的に使用されたため、それまで金属製だったもののほとんどが代用品に変わりました。木製のバケツ、竹製のペン先、ガラス製のかつおぶし削り器、磁器の栓抜き、陶製のボタンなど。それ以外にも服地はスフ(スティーブル・ファイバー)に変わりました。スフとはくず綿、木材繊維などで作った人造繊維のことです。また毛皮が不足してくると軍服のウラ地にはネコの毛が使われました。戦時中にはネコさえも犠牲になったのですね。このような代用品は「新興品」と呼ばれました。

もちろん当時の悲惨な生活を垣間見ることができますが、その一方で今では欲しいものを何でも買おうとする、また手に入る時代ですが、もしかしたらその多くは代用品でもまかなえるのかもしれないなとも思いました。ものがない時代にどうやってそれを埋め合わせるのか?戦時中の生活からそんなことを学んだ気もします。
素晴らしい資料集を作成してくださった船橋市の関係者の皆さんに改めて感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。

資料図録「戦争・平和と市民のくらし」
2006年(平成18年)3月31日発行
船橋市郷土資料館