十三のいたずら2012年03月12日 08時33分40秒

0313どんと晴れ
3月12日「十三のいたずら」

いゃー遠いとこさ、よくお越しくださいましたぁ。まぁ、口しゃべるのは構わねぇけど、今ちっとダイコンっこさ干してますんで、もうちょこっとだけ待っといてくださいませ。えっ?どのぐらい待つかって・・・そりゃダイコンっこに聞いてみないとわかんねぇべなぁ。30分で済むか、それとも2日ぐれかかるか。あっ、そいつはちょこっと口しゃべれるからお客さんが自分で聞いてみてくれんじゃろか?そう、その右から3本目ぇのやつだぁ。

そんで何の話だったべか?あー、十三さんの話だったべなや。お客さんは昔、干支(えど)が十二支じゃあなくて十三支だったことはご存じだべ?えっ?ご存じない?お客さん大の学校では習わんかったべか?ウチなんか小の学校しか行ってねぇげどちゃあんと教えていただいたべ。まぁ寒いですからもうちょこっと火の近くへどうぞ。あっ良かったらもういっぱい汁っこいかがですかぁ?

そうそう、十三支の話だべども、そんな訳でどうしてもひとつ減らさなくちゃならねってことで動物たちで話し合ったんだべ。そん時、まぁ猫っこ、名前は十三(じゅうぞう)さんというんだけど、猫っこはネズミっこいじめるし、竜っこ近くさ通っても寝ていて起きやしない、あいさつもしやしないで礼儀もない奴だってことで、十三支から追い出されることになってしまった訳です。えっ、この鍋っこの名前?これはゲンニン汁って言います。間と言う字に人と・・・まぁそんなこと口しゃべってもしかたねけどなぁ。

ところが十二支から追い出された十三さんの恨みが「たたり」となって出るようになったんはそれから少し経ってからだべなぁ。例えば中の学校の入学式だとか、どこかの村での婚礼とか大勢の人が集まって写真を撮るときに、必ずひとりは猫みたいに目をつぶって写っている人がおるべなぁ。あれが十三さんのたたりなんです。なぜって、昔、十三支のころにはそんなことが一回もなかった訳です。まぁもっともその時代にはまだ写真もながったけどなぁ。ただ「たたり」って口しゃべると子どもたちが怖がるから、今では「十三さんのいたずら」っ土地の人間は口しゃべってますけどなぁ。どんと晴れ。

あらら、お客さん、ウチが口しゃべっているのにふたりとも寝るように死んでしまったなぁ・・・オーイ、権吉(ごんきち)、ご苦労だけどこのお客さんたちふたりそっちに干しといてけろ。そうダイコンっこのとなりに。そんで三日ぐらい経ったら爪だけ外してこのゲンニン(間人)鍋に入れといてけろ。たぶん春になったらまた別のお客さんたちが大勢やってくるかもしれねぇべからなぁ。