江戸時代も夏はやっぱり暑い2011年04月17日 13時34分48秒

今日は山種美術館で開かれている「ボストン美術館の浮世絵展」に行ってきました。もちろん浮世絵を見るのが目的ですが、浮世絵コレクターでもある歌舞伎役者の亀治郎さんが解説される音声ガイドも楽しみにして行きました。

まず、全体を見ての感想としては、役者を描いたもの(今でいえばブロマイド)を除くと、夏の日に夕涼みをしている絵が多くありました。今ほどは暑くなかったといってもエアコンも、扇風機もなかった時代のことです。夏の暑さをしのぐために人々は、夕方に川面を歩き、花火を見て、屋形舟にのって涼をとる、そんな庶民の生活の様子を描いたものが多くありました。
17番清長「萩見」清長
亀戸の何とかという萩の有名なお寺に、萩を見に行く様子を描いたものです。
73番「合わせ鏡」歌麿
扇子から遊女の表情が透けて見える、見事な透かし彫り。楽しみにしていた作品のひとつです。
76番「すす掃き」歌麿
大掃除の様子を描いたもの。手前に可愛いネズミが2匹見えますよ。
昔は大掃除の時に年男を胴上げしたそうで、その様子も描かれています。
79番「忠臣蔵七段目」歌麿
武士と向き合う遊女の後ろにハシゴが見えます。そう、一力茶屋の大星とおかるですね。
118番「四季庵の酒宴」俊満
今回の美術展で俊満の作品はこれ1点だけでした。珍しい左利きの絵師です。
122番「涼み船」栄之
今回一番印象に残った作品。屋形船の上では三味線、太鼓に人形浄瑠璃、楽しい宴会が開かれています。その船の屋根の上でひとりの男が寝転んで一服しています。音声ガイドによると男は、この船の船頭さんとのこと。確かに腹巻をしていますからそうなのかもしれません。でも私には、客の一人が、「オレは酒も、女も、うるさい音楽も飽き飽きしたよ」と宴会を抜け出し、船の屋根に上ってひとり青空を眺めている、そんな絵のように感じました。


0417涼み船


そういえば男女の秘めごとを描いた春画は、一枚もありませんでしたね。(当たり前か?)

ボストン美術館の浮世絵展は、4月26日からは千葉市美術館に会場を移します。見逃したという方はぜひお出かけになってみてはいかがでしょうか。亀治郎さんの音声ガイドもお楽しみに。

コメント

_ YVR ― 2011年04月18日 10時39分55秒

まだ実際に浮世絵を見たことが無いので、興味津々です!
良いものは時代を経ても良いものですね~。
ところで、今日(17日)は「Vancouver SunRunマラソン大会」に参加。 初めてのマラソンでしたが、お天気にも恵まれ、頑張って完走でき心地よい疲労感?に浸っていま~す。(笑)

_ 釈千手 ― 2011年04月18日 17時15分43秒

YVRさんへ
実は日本の浮世絵は、良いものはほとんど海外に流出、しかも国内より保存状態が良いので、輸入して展覧会を開いているのが現状です。きっとバンクーバーにも日本の浮世絵があることでしょう。
ところで完走おめでとうございます。すごいです。遠い日本からもお祝いを送りますね。カンパーイ(笑)!

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
私は○○通訳士。漢字二文字でお答えください。

コメント:

トラックバック